心血管疾患検査②
心血管疾患検査①の続きです。
酸化LDL(酸化悪玉コレステロール)
酸化LDL(酸化低密度リポタンパク質)は、フリーラジカルのような不安定な分子によってダメージを受けた、LDLです。酸化LDLは、非酸化LDLよりも危険であり、動脈におけるプラーク(脂肪沈着物)の形成につながる可能性がより高いといわれています。また、酸化LDLは、コエンザイムQ10のような抗酸化物質の必要性も明らかにすることができます。酸化LDLは、下記の状態と関連するといわれています。症状や病歴のあるなしに関わらず、予測するのにも役立ちます。
酸化LDLのレベルが高い場合
アテローム性動脈硬化症
冠動脈疾患
肥満
2型糖尿病
急性心筋梗塞(AMI)
アテローム血栓症
高血圧
メタボリック・シンドローム
多発性硬化症(MS)
うつ病
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
今日、子供における肥満が増加するにつれて、インスリン抵抗性や心血管疾患も増加しています。酸化LDLは、6歳以上の子供のアテローム性動脈硬化症のマーカーとしても使用できます。
総コレステロール
総コレステロールは、HDL(善玉コレステロール)、LDL(悪玉コレステロール)、VLDLを含みます。総コレステロールは、下記の状態と関連するといわれています。
総コレステロールが低い場合
総コレステロールが高い場合
アテローム性動脈硬化症
冠状動脈性心疾患
脳卒中
末梢血管疾患
2型糖尿病
高血圧
LDL(悪玉コレステロール)
LDLは、全血清コレステロールの60〜70%を占め、血液中の中性脂肪(トリグリセリド)を輸送します。LDLは、は下記の状態と関連するといわれています。
LDLが低い場合
脂肪肝疾患
慢性肝疾患
栄養失調
癌
パーキンソン病
LDLが高い場合
家族性高コレステロール血症
インスリン抵抗性
メタボリックシンドローム
無症候性甲状腺機能低下症
細菌感染、ウイルス感染
HDL(善玉コレステロール)
HDLは、総コレステロールの約20〜30%を占め、LDL(悪玉コレステロール)を肝臓へと運んでくれるため、善玉コレステロールとして知られています。HDLは、下記の状態に関連するといわれています。
HDLが低い場合
アテローム性動脈硬化症
冠状動脈性心疾患
心筋梗塞
脳卒中
2型糖尿病
肥満
HDLが高い場合
慢性アルコール依存症
経口エストロゲン補充療法による治療
ナイアシン、スタチン、フィブラートによる治療
中性脂肪(トリグリセリド)
中性脂肪は、血液中の脂肪の1種であり、肝臓で作られたり、食物に含まれています。食事による過剰なカロリーは、中性脂肪に変換され、脂肪細胞に保存されます。脂肪細胞は必要時にエネルギーとして中性脂肪を放出します。中性脂肪は、下記の状態に関連するといわれています。
中性脂肪が低い場合
栄養失調
自己免疫疾患
肝疾患
中性脂肪が高い場合
代謝症候群
2型糖尿病
肥満
甲状腺機能低下症
腎臓病
肝障害
膵炎
コレステロールの比率
総コレステロールとHDLの比率は、心血管疾患を判断するために使用されます。低い比率が理想的です。男性の場合は5以下、女性の場合は4.4以下の比率が理想です。比率が高い場合は、下記の状態に関連するといわれています。
冠状動脈性心疾患(死にいたることもある)
心筋梗塞
狭心症
冠動脈機能不全
VLDL(超低密度リポタンパク質)
VLDL(超低密度リポタンパク質)は、全血清コレステロールの10〜15%を占め、肝臓や腸で産生されるLDLの前駆体です。他のコレステロールとは対照に、多くの中性脂肪を含みます。VLDLは、下記の状態に関連するといわれています。
循環器疾患
肥満
糖尿病
高血圧
メタボリック・シンドローム
インスリン抵抗性
ヘモグロビンA1c (HbA1c)
ヘモグロビンは、酸素を運ぶ赤血球における鉄を含んだタンパク質です。 ヘモグロビンA1cは、グルコースで覆われています。血糖値が高い方は、より多くのヘモグロビンA1cを持っています。ヘモグロビンA1cは、下記の状態に関連しているといわれています。
ヘモグロビンA1cが低い場合
鉄欠乏性貧血
メタボリック・シンドローム
慢性肝疾患
炎症
失血
高トリグリセリド血症
薬への反応
ヘモグロビンA1cが高い場合
2型糖尿病
慢性腎臓病
心臓病
神経損傷
脳卒中
眼疾患
アルコール依存症
フェリチン
フェリチンは、鉄に結合するタンパク質です。 フェリチン血液検査は、間接的に血液中の鉄を測定することで、体に保存されている鉄を検査します。フェリチンは、下記の状態に関連するといわれています。
フェリチンが低い場合
鉄欠乏性貧血
過度の月経出血
セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎、グルテン不耐症による腸の吸収不良
不穏下肢症候群
フェリチンが高い場合
アテローム性動脈硬化症
心筋梗塞
肝疾患
炎症
アルコール依存症
関節リウマチ
過敏性腸症候群
細菌感染症
がん
甲状腺中毒症
フィブリノーゲン
フィブリノーゲンは、肝臓で作られるタンパク質であり、血液凝固の主要因子として知られています。フィブリノーゲンは、炎症によって増加させられます。フィブリノーゲンは、下記の状態に関連するといわれています。
フィブリノーゲンが低い場合
出血障害
遺伝性や後天性の凝固障害
重度の栄養失調
進行肝疾患
フィブリノーゲンが高い場合
アテローム性動脈硬化症
脳卒中
急性と慢性の炎症性疾患
急性感染症
癌
赤血球沈降速度(ESR)
赤血球沈降速度(ESR)は、赤血球が抗凝固処理された血液から沈んでいく速度です。体内における炎症や壊死は、血漿タンパク質を変化させ、赤血球をより速く沈ませます。赤血球沈降速度が高い場合、下記の状態に関連するといわれています。
一般的な炎症
炎症性疾患
関節炎、ループス、関節リウマチ
癌
脳卒中
慢性感染症
貧血
甲状腺疾患
腎臓病
妊娠
アディポネクチンとレプチン
アディポネクチンは、脂肪細胞によって放出されるタンパク質です。アディポネクチンは、脂肪酸を分解し、血糖を調節することに関係しています。レプチンは、脂肪細胞によって産生されるホルモンで、満腹感を促す食欲を制御するのに役立ちます。アディポネクチンとレプチンの両方を測定し、その2つを比べます。アディポネクチンとレプチンのアンバランスは、下記の状態に関連するといわれています。
肥満
2型糖尿病
冠動脈疾患
メタボリック・シンドローム
アテローム性動脈硬化症
インスリン
インスリンは、膵臓で作られるホルモンです。インスリンは、体の細胞が血液からグルコースを吸収できるようにし、肝臓が作るグルコースの量を減らします。
インスリン抵抗性の場合、体の細胞がインスリンからのメッセージを受け取ることが難しくなります。すると、グルコースを適切に吸収することができず、血液中にグルコースが蓄積してしまいます。膵臓は、より多くのインスリンを産生することによって、このアンバランスを補いますが、インスリンを多く生産し続けることはできません。インスリンのレベルが高い場合、下記の状態に関連するといわれています。
メタボリック・シンドローム
前糖尿病(糖尿病予備軍)
2型糖尿病
肥満
高血圧
心臓病
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
甲状腺機能低下症
*当チームリーダーは、10年以上日本の医師(抗加齢、栄養療法医師、ホルモン治療、予防医学、自閉症医学、脳医学、神経医学、免疫医学含)、歯科医(バイオロジカルデンティスト、アマルガム療法、歯科栄養療法)、栄養士、オリンピックアスリート、コーチ等にコーチング、指導、育成を行っております。ご相談、コーチに関してはいつでもご連絡下さい。